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2022.12.30 「2022えなローカル起業カレッジ」第3回開催レポート

2022年10月30日(日)、「2022えなローカル起業カレッジ」第3回が開講されました。

第3回の講師は、岐阜県山県市で柿渋染めを手がける「柿BUSHI」の加藤慶さん。「地域にある資源を最大限に活かす」をテーマに、講義とワークショップを行っていただきました。

各回午前中のテーマ「中野方のローカルなお話」の今回の舞台は、「えな笠置山栗園」。実際に皆で選果場と栗園に足を運び、栗園の事業概要と課題についてお話を伺いました。

今回も、中野方に移住2年目の運営スタッフ・中畑がレポートをお届けします。第1、2回目に引き続き、田舎での「なりわい」づくりについて考える一助となれば幸いです。

 

「めざせ日本一!」えな笠置山栗園を知る

前半は、株式会社えな笠置山栗園の各務一彦さんがスピーカーを務めました。えな笠置山栗園は中野方を見下ろす笠置山の中腹にあり、栽培面積は約20ha、栗の木は約6,500本という大規模な栗園です。「めざせ日本一」をキャッチフレーズに、生産技術の向上と「恵那栗」ブランドの確立、雇用や交流による地域活性化、6次産業化といった取り組みを続けています。

最初は町の中心・コミュニティセンターほど近くの選果場へ。人参を洗うための設備を活用した栗洗い場や、回転しながら栗をサイズ別に選り分けるドラム式の選果機を実際に見せていただきました。次は、スタッフの車に分乗して栗園へ向かいます。

20haといってもなかなか想像しづらいと思いますが、実際に行ってみるとその広大さに驚きます。実際に栗の木を見ながら栽培管理について聞いたスポットから堆肥場、管理棟と回りましたが、移動は車。とても徒歩で回れるスケールではありません。管理棟から眼前に広がる栗園の眺めはなんとも壮大!チャレンジしていく課題は多くあると伺いましたが、大きな可能性を秘めた場所であると感じます。

受講生の皆さんからも、感嘆の声が多く聞かれました。栗の種類や栽培方法についてなど、マニアックな質問も投げかける方も。たくさん挙がった質問の中から、少しだけピックアップしてご紹介します。

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Q:売上を上げていくために、これから注力したい取り組みは?

A:人材確保と育成。ありがたいことに需要は多くいただいているが、それを満たすだけの人的パワーが足りないのが現状。さらに、今後の栗園の核となる人材を迎え、育てていくことも重要。地元だけでなく広く全国から将来の栗園を担う人材を募りたいと考えている。

Q:ニーズは多い?

A:「引く手あまた」の状況。九州産などは早々と大手が押さえてしまうようで、地元の恵那・中津川の小さな菓子店は入手に苦労している。必要としてくれる所に必要な量をしっかり届けられる体制を目指したい。

 

地域資源を見出し、価値あるものとして輝かせる

午後は講師の加藤さんによる講義「地域にある資源を最大限に活かす」が行われました。

加藤さんはかつて東京でSEとして忙しい日々を送っていました。しかしある日ふと、いわゆる日曜夜の「サザエさん症候群」を定年まで何度経験しなければならないかを計算してみたのだそう。その数、あと1,500回…。そんな生活は嫌だと一念発起、さまざまな人と出会って多様な働き方を知り、移住に至りました。

加藤さんが移住したのは2016年。山県市の地域おこし協力隊として活動し、任期後に「柿BUSHI」として独立しました。山県市にしかない伝統の柿「伊自良大実柿(いじらおおみがき)」を守っていくため、柿畑の管理とともに、柿渋染め商品の販売や染色体験などを行っています。最近開園した愛知県長久手市の「ジブリパーク」スタッフが着用するエプロンの染めも手がけたそう。そのほか、市の観光事業や移住定住アドバイザー事業にも携わっています。

ここでは、加藤さんが「まとめ」として挙げてくださったポイントをご紹介します。

●地域の資源をよく知る

●田舎の何気ないものが、都会の人にとって大きな価値となりうる

●地域との接点をつくる

●固定収入があると活動の精神的な基盤となる(複業・多業)

●ポジションを取る

●ストーリーをつくる

●継続的な活動ができる価格設定

●プロセスもキャッシュポイントになる

●田舎ならではの経費削減方法がある

●差別化要因を探す

●コラボをする

加藤さんのお話からは、冷静にビジネスを見つめる目と、伝統を守り伝えていこうという熱い想いの両方を感じました。移住を決めた、具体的な事業構想を描き始めたという受講生もいる中で、実際になりわいを始める一歩を力強く後押しするお話でした。

「移住決定」「癒しのサロンを」「藍染め&編集者」受講生のこれから

加藤さんによる講義のあとはシェアタイム。次の最終回では発表会が行われることもあり、連続受講の方には現時点で考えている「なりわい」についてもお話しいただきました。その一部をご紹介します。

●移住が決まり、広い空き家を購入することに。空きスペースと地域の食材を活用して、地域と外をつなげられるような、人が集まる場所をつくりたい。

●ヒーリング&リトリートサロンを開きたい。森の中の癒し空間として、近所の方にも都会の方にも来てもらえる場所に。農泊とのコラボなども企画し、まち全体の活性化につなげられたら。

●個人事業主として一歩を踏み出した。藍染めとともに、これまでのライティング経験を活かして、ひとりの編集者としても恵那の良さを内外に伝えていきたい。

●初参加だったが、同じ志向を持つ人たちの集まりに感動した。都市偏重、拡大や成長はもういいという人はかなりいるのでは。田舎を持続可能な場所にするには、多種多様な人を集めることが大切だと思う。

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最終回となる第4回は12月17日(土)・18(日)の2日間にわたり開催予定です。

1日目は、中野方のお隣・白川町から「五段農園」代表の高谷裕一郎さんをお招きし、「立ち位置を変えてみる」をテーマに講義・ワークショップを行います。2日目はワークショップ&発表会を予定しています。2日目終了後は、ご希望があれば町内の空き家のご案内もいたします。

最終回ではありますが、1回だけの受講、どちらか1日の受講も大歓迎です♪

発表会もアットホームな雰囲気となりそうですので、初めてのご参加の方でも「こんななりわいしてみたいです!」と気軽に話してみる場として使っていただければいいなと思っています。宿泊ご希望の方には、町内の農泊のご紹介をいたします。

興味を持っていただけたら、ぜひ以下のリンクから詳細をご覧ください。リンクからお申し込みも可能。お待ちしています!

◆2022えなローカル起業カレッジ