古民家カフェをオープン。この地ならではの「おいしい」を存分に伝えたい:芦刈智一さん・初子さん

この春、中野方で古民家カフェ「Tomaru.」をオープンした芦刈智一さん・初子さんご夫妻。古民家ならではの広い土間や畳の間、風格ある柱や梁を活かしつつリノベーションされた店内で、初子さんが手がけるスイーツやランチが味わえます。お店から眺められる中野方の里山風景も、おすすめポイントのひとつです。
すでに中野方町内の人々から愛されるお店となり、町外からもお客さんが訪れる「Tomaru.」。しかし、オープンまではまさに試行錯誤の連続で…。今回はそんなカフェ開店までの道のりや移住の経緯について、初子さんにお話を伺いました。
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古民家カフェ「Tomaru.」
オープン:土・日 13時〜17時
※ランチがスタートする7月12日(土)より11〜17時
https://www.instagram.com/tomaru.cafe/
(2025年3月取材)
1軒の空き家に導かれて

――移住前はどんな生活をしていましたか?
名古屋に住んでいて、夫は設計の仕事を、私は乳製品を扱う会社で業務用のメニュー開発等の仕事をしていました。もともと自給自足というか、自分たちで食べるものをつくるということに興味があって、仕事の傍ら三重県にある自然農の塾に通っていたりもしました。
――中野方とのつながりはどこから?
当時働いていた会社の近く、名古屋・栄のオアシス21に岐阜県のアンテナショップ「ギフツプレミアム」があって、仕事帰りによく野菜などを買っていたんです。ある時、店頭の電光掲示板で棚田オーナーの募集が出ていたのがぱっと目に入って。申し込み締切が翌日で、駆け込みで申し込みしたのが中野方と出合ったきっかけでした。
――そう、最初は棚田オーナーだったんですよね。そこから移住に至ったのはどうやって?
棚田の作業のときにお世話してくださった方から、今住んでいるお家のことを聞いたんです。そして、「気になるなら聞いてあげるよ」と、問い合わせてくださって。
当時はまだまだ「移住」はぼんやり考えている程度だったのですが、その後、棚田に来ているときに地域支援員の方から電話がかかってきて「今からなら案内できるけど、家見る?」と。とりあえず見るだけ見てみようか、と行ってみたら、とてもいい感じで。なんだか馴染みがある気がするな、人が集まるのが想像できるな…と、ピンときちゃったんです。なんだか移住する流れが来ているんだな、と思いました。その流れにえいっと乗って、今に至ります(笑)。
――「えなローカル起業カレッジ」(今年より「LIFE SHIFTえな」)の第1期生でもありましたよね。
こちらも地域支援員の方に誘われて参加しました。いつかお店をやりたいなと思っていたので、空き家も見せてもらったし、テーマも「起業」で、私たちにはちょうどいいタイミングだなと。「カレッジ」の最終回でのプレゼンで、店名「Tomaru.」やトレードマークのパンダを紹介したのですが、2年越しにちゃんと実現できましたね。
新生活・開業準備・田んぼと畑…すべて同時に全力疾走!

――移住後はどんな生活を?
夫婦二人とも名古屋での仕事は辞めて移住してきました。夫はこちらに来てからは恵那の会社に勤めて、私は主に開業準備に専念する形になりました。想像以上に開業までの道のりが多難で、お店のオープンまで思ったよりかなり時間がかかってしまい…いつ貯金が尽きるかとヒヤヒヤしていました。
――開業準備で大変だったことは?
今はスイーツメインのカフェとしてオープンし、焼き菓子販売もしていますが、追ってランチや民泊も始めようとしていて。さまざまな許可を一気に取ったり、必要なものを揃えたりするのも想像以上にお金と労力がかかりました。
そして、引っ越しと開業準備が同時進行になってしまったのも、振り返ればきつかったなぁと。引っ越し後、少しの間だけでもまずは生活を落ち着かせるための期間をとればよかったなと思います。さらに田んぼや畑も一緒に始めてしまったので、それはもうバタバタで(笑)。
――本格的なオープンは今春からでしたが、その前から予約があればお店を開けていたんですよね。
まずは普段お世話になっている中野方の人たちに向けて、ランチやお食事の提供を始めました。本当に小さく始めたのですが、町内の口コミパワーはすごくて(笑)、直接お知らせしていない方が電話で予約を入れてくださったりすることもあり、ありがたかったですね。クリスマスケーキを頼んでくれた方もいらっしゃいました。いずれは予約で、バースデーケーキなどもやれたらいいなと思っています。
飲食店としての体裁が整う前は、お話し会やワークショップを開いたこともあります。広い畳の部屋がありますから、そういう場として使っていただける機会もあればいいですね。

「ここだからできること」を、ひとつずつ

――移住からここまでがむしゃらに走り続けてきた感じだと思いますが、中野方に来てよかったと思うことはありますか?
棚田オーナーや「カレッジ」に参加していた頃から、中野方の人の温かさは感じていました。実際に引っ越してきてからも、近所の方はいつも気にかけてくださり、わからないことも親切に教えてくれて、本当にありがたいですね。
特に田んぼや畑については手取り足取り教えてもらい、目標の自給自足に一歩一歩近づけている実感があります。昨年からは、地域の仲間と一緒にお醤油づくりも。食べ物を身近に感じ、季節のうつろいも心身全体で感じられ、エネルギーいっぱいの旬のものを食べることができるのは、幸せなことだと思っています。

――今後の目標や夢をお聞かせください。
食事はもちろんですが、これまで経験を積んできたスイーツに私の強みがあると思うので、地産地消の素材を活かしたデザートや焼き菓子にさらに力を入れていきたいと思っています。ゲストハウスの準備も進めて、美味しいものを楽しむ人、滞在する人、近くの人、遠くの人…さまざまな人が「トマル」場にしていきたいですね。
名古屋で働いていた頃は仕事柄もあって、ひたすらトレンドを追いかけてそれに合わせたスイーツを作っていました。それはそれでやりがいもあって楽しかったのですが、どんどん入れ替わる波にひたすら合わせていくうちに、自分がなくなっていくような感覚もあって…。だから今は地に足をつけて、自分が本当においしいと思うもの、大切に作られているものの良さを肌で感じて、人と関わって、そのものの良さをお菓子や料理で表現して伝える人になりたいと思うのです。

お店のコンセプトは、「自分のなかのほうに還る」。昔のおばあちゃんの家のようなほっとする雰囲気を懐かしんだり、エネルギーのある美味しいものを食べて心身が癒されたり…。また、自然や農に触れる機会やイベントなどを通じて、ふと立ち止まって考えたり、何かのきっかけを見つけたりできるようなお店になったらいいなと。
ひとつの小さなお店ができることには限りがあるけれど、ここに来てくれた人に少しでもそれが伝わればいいなと思っています。
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「Tomaru.」では、7月12日(土)待望のランチもスタート!
地元食材を取り入れた美味しいお食事とスイーツ、智一さん・初子さん夫妻の温かいおもてなし、そして穏やかな中野方の風景で、リラックス&パワーチャージできること間違いなしです♪
ぜひ、素敵な時間を過ごしにいらしてくださいね。
営業日や季節限定メニューなどの最新情報は、「Tomaru.」のInstagramをご覧ください!
▼「Tomaru.」Instagramはこちら▼
https://www.instagram.com/tomaru.cafe/




