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2023.2.1 「2022えなローカル起業カレッジ」第4回開催レポート

2022年12月17日(土)・18日(日)、「2022えなローカル起業カレッジ」第4回が開講されました。

今回の講師は、中野方のお隣・白川町で有機野菜と培養土の生産・販売を手がける「五段農園」の高谷裕一郎さん。「立ち位置を変えてみる」をテーマに、講義とワークショップを行っていただきました。

各回午前中のテーマ「中野方のローカルなお話」の今回の舞台は、「なかのほう不動滝やさいの会」。実際に皆で直売所に足を運び、事業概要と課題についてお話を伺いました。

そして最終回である今回は、2日目に受講生発表会を開催。初回から続けて受講していただいた皆さんの「なりわい」プランを、それぞれ発表していただきました。

今回も、中野方に移住2年目の運営スタッフ・中畑がレポートをお届けします。前回に引き続き、田舎での「なりわい」づくりについて考える一助となれば幸いです。

 

育て、つくり、旬を届ける「やさいの会」    

1日目の前半は、農事組合法人なかのほう不動滝やさいの会の鈴村佳代子さんがスピーカーを務めました。「やさいの会」は1990年に発足、30年以上にわたり主に農家の女性有志で活動を続けてきました。「旬の農産物をたべる幸せ」を伝えることを大切に、野菜づくりから調理・加工、販売までを手がけています。

当日は、町の入口にある「不動の滝農産物直売所」に集合。前日の雪が残る寒い朝でしたが、焼きたての五平餅のおふるまいをいただき、体が温まったところでお話を伺いました。お昼は直売所に隣接する食堂「味菜」で定食を。旬の野菜とお米を使い、煮豆や漬物まですべて手作りの優しいごはんを楽しみました。こちらのお食事やお弁当、町内外に根強いファンが多いというのも納得です。

現在活動しているのは60、70代の方が中心とのことですが、40代や20代の若手の参加もあり、皆で和気あいあいとお仕事をしているそう。それを聞き、「私も働こうかな…?」という声も(大歓迎!)。以下、たくさん挙がった質問の中から、少しだけピックアップしてご紹介します。

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Q:直売所は冬(12月下旬〜3月中旬頃)はお休みですが、その間はどうしている?

A:冬は味噌作りのシーズン。加工部で糀を作ったり豆を煮たりなど、1年分の味噌の仕込みをしている。直売所は閉めているが、恵那駅前の観光物産館「えなてらす」や中央道の恵那峡SAには冬季も商品を出している。

 

Q:意思決定はどのように?

A:理事会で決めている。会社ではなく組合なので、1年間に出た利益を全員で分け合う仕組みがあり、利益が多ければ年末にちょっとしたボーナスが出せることも。

 

土を作り、売る。「堆肥の人」ができるまで

午後は講師の高谷さんによる講義「立ち位置を変えてみる」が行われました。

高谷さんは秋田県出身。子どもの頃から庭を穴だらけにするほど土に触れるのが大好きで、「土に近い仕事=農業」と考え、大手種苗会社に就職しました。「種の仕事は楽しかった」と言いますが、意外と土に触れる機会がないことには不満で…。そして、2011年の東日本大震災を機に「絶対の安全はない。地に足をつけた暮らしがしたい」と移住を決意。折しも新築のお家を建てたばかりだったそうですが、それを手放して、有機農法で名高い白川町に移住しました。

最初は野菜を栽培していましたが、有機栽培の苗を作るための培養土がなかなかないことが悩みでした。そもそも化学肥料入りのものが多い上に、有機として市販されている土でも苗作りがまったくうまく行かないのです。「それなら、自分で作ろう」そう考えた高谷さんは、堆肥づくりを熱心に学びます。その成果が、高谷さんオリジナルの培養土「けんど君」です。「けんど君」や「けんど君」で作られた苗は評判を呼び、「けんど君」は年間1,500袋、苗は1万鉢前後を販売するまでになりました。堆肥づくりを教える「堆肥の学校」も始め、東京など遠方からも受講生を集めています。

ここでは、高谷さんが「まとめ」として挙げてくださったポイントをご紹介します。

 

●ファンは少なくて(も)いい

土づくりは、苗の栽培がうまくいかないという自分のつまづきをヒントに始めた、いわば「ニッチ」の事業です。ターゲットは限られますが、その少ないターゲットに深く刺されば、じわじわと長く売れ続けていきます。

 

●冷静と情熱のあいだ

映画にもなったベストセラー小説のタイトルですが…この言葉のとおり、原動力となる熱い想いだけではうまくいきません。資金はどうするのか。得たお金をどう使う(投資する)のか。どんなポジションを取るのか。熱さと冷静さのバランスを取りながら進んでいくのが大切。

 

●地域との交流

田舎には、自治会や消防団などさまざまな活動があります。何かと集まりがあって面倒と感じることもあるかもしれませんが、こうした場は地元の若い世代、同世代と交流できる貴重な場でもあります。何でもかんでもと無理する必要はありませんが、つながりをつくり、保つ機会は大切に。

 

 高谷さんは、堆肥づくりの技術をどんどん伝えていき、コミュニティの輪を広げたいと話していました。それを聞いて、「やってみたい」と興味を示す受講生の方も。「独自のポジションを取る」など、事業を始め、軌道に乗せていくためのヒントがいっぱいのお話でした。

 

受講生のこれから。「カレッジ」を通して見えた未来

最終回2日目は、受講生の皆さんによる発表会が行われました。全4回を通して考えたこと、見つめてきたことをまとめ、自分の目指すなりわいについて話す場です。それぞれにその方らしさの溢れた発表。ワクワクしながら聞かせていただきました!

 

●ワークシェアができるような協同組合や民泊、農業しながらキッチンカー営業、さまざまな人が集まれる施設の運営など、やってみたいことはさまざま。これからも学びながら、自分の「なりわい」を作る準備を進めていきたい。

 

●移住希望者に寄り添う不動産コンサルティング&移住希望者と地域を結ぶ拠点づくり。移住したい人、地域に興味のある人が気軽に立ち寄れる場を作りたい。

 

●中野方に移住が決定。購入した広い空き家を活かして、カフェや民泊を開業したい。地産地消・サステナビリティ・健康をテーマに、地元の農産物のほか野草なども取り入れた独自のスイーツを作ってみたい。

 

●ヒーリング&リトリートサロンを始めたい。身体と心、両方を癒せる場。都会の人が自然の中で癒され、元気になる場であるとともに、地元の人にも心身のメンテナンスのために気軽に来てもらえる場所に。

 

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今回をもって、「えなローカル起業カレッジ」第1期は無事終了しました。初めての試みでしたが、「講師の方のお話がとても参考になった」「自分のやりたいことがはっきりした」とのお声もいただき、スタッフとしても大いに力づけられました。

 

★第2期、開講します!

現在、中野方町では「えなローカル起業カレッジ」第2期開講に向け準備を進めています。春頃にこちらのサイトおよびFacebookにて詳細を発表いたします。ご興味のある方はぜひ、この機会にFacebookをフォローしてくださいね♪

◆中野方地域自治区Facebook