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2022.8.18 「2022えなローカル起業カレッジ」第1回開催レポート

2022年7月18日(月・祝)、「2022えなローカル起業カレッジ」第1回が開講されました。

第1回の講師は、同じ岐阜県の白川村を拠点に多方面にご活躍の柴原孝治さん。「『田舎×移住×起業』で、欲しい未来は自分で作ろう」をテーマに、講義とワークショップを行っていただきました。

受講生は、名古屋、多治見などからご参加いただいた7名。それぞれの「なりわい」について考えを深める機会となったのではないでしょうか。

今回から12月まで全4回の開催レポートを、移住2年目に入ったばかりの運営スタッフ・中畑がお届けします。移住初心者としてこれからなりわいを作っていく立場、そして中野方に来てくださる方をお迎えする立場の両方の視点から書いていきたいと思います。移住・起業を考えていらっしゃる方の参考になりましたら幸いです。

それでは、初回の開催レポートをどうぞ!

 

棚田を歩き、地域の課題と展望を知る

第1回の会場は、中野方の「坂折棚田なごみの家」。全員集合して簡単な自己紹介を行ったあと、棚田の散策に出かけました。

戻り梅雨の曇り空でやや蒸し暑かったのですが、それでも名古屋からの受講生さんは「涼しい!」。都会の暑さに比べると、ずいぶん過ごしやすいと感じていただけたようです。

棚田散策の案内役は、中野方地域協議会会長の柘植昭男さん。広く棚田を見晴らす展望台からスタートし、散策マップ片手に棚田の歴史や石積みの種類などのレクチャーを受けながら散策を楽しみました。

散策後は、柘植会長による「中野方のローカルなお話」。中野方の概要や地域づくりの取り組みなどについて紹介いただきました。多くのご質問もいただきましたので、質疑応答の一部をご紹介します。

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Q:移住となると仕事をどうするかが課題。実際にどんな仕事をしている人が多い?

A:ほとんどが勤め人だが、田畑を持ち、仕事をしつつ自給できるくらいの米や野菜は自分で作っている人が多い。

 

Q:町の財産である棚田とその景観は、今後どのように守っていくのか?

A:基本的にはそれぞれの田の持ち主が管理しているが、高齢化が進み手入れが十分にされていない田も増えてきており、そうした田は棚田保存会が管理を手伝っている。町内外の方70組が参加するオーナー制度があるが、管理する人がいなくなる田はハイペースで増えていくため、対策については頭を悩ませているのが現状。こうした機会に、皆さんのお知恵もぜひお借りしたい。

田舎では誰もがまちづくり当事者。欲しい未来は自分でつくる!

皆で「なかのほう不動滝やさいの会」の手作りお弁当の昼食を楽しんだ後は、講師の柴原さんによる講義「『田舎×移住×起業』で、欲しい未来は自分で作ろう」が行われました。

大手通信会社で働いていた柴原さんは、転勤の辞令を機に会社員を辞め、地域おこし協力隊員として縁もゆかりもなかった白川村に移住しました。これまで「食べていけるかどうか」で大学や働く先を選んできた柴原さんは、この時34歳で初めて「やりたいこと」を基準に人生の選択をしたと言います。

協力隊として活動中に村長に直談判して会社を立ち上げ、まちづくりを手がける一般社団法人の運営、村の学校のICT支援員、大学講師、カフェ運営などなど…と、今や「わらじ何足?」状態の柴原さん。まさに自分は「百姓=さまざまな生業を兼ねている人」であり、地域で生きていくには複業が基本だと話しました。

そして、「地域ぐらしの面白さ」5つのポイントを挙げられました。

1.暮らしが遊びになる場所
空き家を自分でリノベーションする、畑で野菜を作る…生活のための作業がそのまま遊びになり得るのが田舎。もちろん、子どもものびのび育つ。

2.地域の復興は国策(地方創生)である
日本の地方は課題先進地。いずれ都市もアジア各国も直面する課題に今向き合って、さまざまなアイデアを試すことができる。ノウハウを先に蓄積できる。

3.余白だらけで競争の原理が働かない
都市部ではライバルだらけでも、田舎では「それをできるのは自分一人だけ」ということもありがち。やってみたら誰でも第一人者になれる可能性あり。

4.地域コミュニティは共助の原理が働く
共助はリスクマネジメント。セーフティーネットは意外と田舎の方が強いかも。

5.シェア・共感の時代にマッチする
シェアリングエコノミーは田舎では当たり前。物流やインターネットの発達により、田舎の不利さ・不便さは相対的に減ってきている。

田舎では、「欲しい未来」を自分の手で作っていくことができます。移住する上で「仕事をどうすれば…」「地方にはいい仕事がないのでは?」という懸念は大きなハードルになりますが、仕事は自分で作ればいいと柴原さんは言います。

仕事というとどこかに勤めたり、何らかの事業を立ち上げたりすることをイメージすると思います。ですが、自給のための畑仕事や、薪ストーブ用の薪割りなどのお金を介さない労働や、ちょっとした頼まれごとやお手伝いなどの寄せ集めで生活が成り立ってしまうのが田舎だったりします。そうした「百姓」仕事の中に、「自分らしい生き方」や「やりたいこと」を織り交ぜていけばよいのです。

そして田舎では、住む人すべてがまちづくりの当事者です。放っておいたら誰かが何とかしてくれている都会とは違い、地域住民が自分たちの暮らしやすい未来を自らの手で作っていくしかありません。「こんなこといいな、できたらいいな」のドラえもん的発想で、小さなことから始めてみる。そうして楽しんでいろいろと試行錯誤していれば、自然と人が集まってきます。「楽しい」「面白い」が循環するまちを自分たちでつくる。童話「北風と太陽」の「太陽」になろう!と、柴原さんは最後にエールを送ってくださいました。

 

「仕事は自分でつくる」「まちづくりは自分ごと」受講生の気づき

柴原さんによる講義の後は、ワークショップ形式で気づきをシェアしました。「仕事は自分でつくる」「複業・百姓」「自分ごとにする」というキーワードに触発されたという声が多くありました。受講生・スタッフの気づきを一部ご紹介します。

●今は会社員。移住後の仕事の心配をしていたが、「仕事は自分でつくる」という言葉にハッとさせられた。定年後に引きこもってしまいがちなシニア世代や、増えていく高齢者世代の人たちが生き生きと活躍できるような何かを考えてみたいと思った。(受講生)

●がっちりと計画をまず立てて…ではなく、「まずやってみる」というお話に刺激を受けた。都会では、確かにまちづくりは人任せで、自分のまちとして考えることがあまりない。自分ごととしてまちづくりを考え、行動するのは大変そうだけど、楽しそうだなとワクワクした。(受講生)

●ずっと勤め人をしていたが、現在はライターや藍染めなどさまざまなことに挑戦している。藍染めはまだ本格的に始めているわけではないが、「藍染めをする!」といつも言っていたら自然と市民講座などの声がかかるようになっていた。「自燃(自ら燃える人)」「他燃(燃える人の側にいると燃えてくる人)」のお話があったが、私自身が今、燃えているという自覚を得ることができた。勇気が出ました!(受講生・恵那市内在住)

●変わらないのは田舎の良さでもあるが、「違うんじゃない?」と言われながらも少しずつ挑戦を積み重ねてきて、実際に少しずつ変わってきた実感がある。子どもにとっては、この地がふるさと。地域に受け入れてもらったから、その恩をこれから返し、よりよいふるさとにしていきたい。(スタッフ)

地方での暮らしに関心がある方が集まり、ともに学んで語り合った1日。移住という選択、地域での生活について、それぞれの方が想いや展望を確認できたのではないかと思います。

第2回は8月28日(日)に開催予定です。前半は、町内の「望郷の森キャンプ場」にて、移住者であり、管理人を務める平林悠基さんによるレクチャー。後半は、中野方のお隣・八百津町から「てとてびと商店」代表の末近さやかさんをお招きし、「小さな循環をつくり出す」をテーマに講義・ワークショップを行います。

単発受講・2回目からの連続受講も大歓迎です♪
興味を持っていただけたら、ぜひ以下のリンクから詳細をご覧ください。リンクからお申し込みも可能。お待ちしています!

2022えなローカル起業カレッジ
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