2024.12.25 「2024なかのほうローカル起業カレッジ」第4回開催レポート
2024年12月8日(日)、「2024なかのほうローカル起業カレッジ」第4回が行われました。
第4回目の講師は、岐阜県山県市の料理家「一鴎 ikku」石井まなみさん。「土地に根ざした暮らしの楽しみ方」をテーマにお話しいただきました。
毎回、午前の部は中野方のことを知ってもらう機会として、町内の方々にレクチャーをお願いしています。今回は、「農事組合法人 なかのほう不動滝やさいの会」の鈴村佳代子さんからお話を伺いました。
今回も、中野方に移住4年目の運営スタッフ・中畑がレポートをお届けします。それでは、第3回の開催レポートをどうぞ!
「なんでも手作り」に驚き!なかのほう不動滝やさいの会
「やさいの会」は1990年に発足、30年以上にわたり主に農家の女性有志で活動を続けてきました。「旬の農産物をたべる幸せ」を伝えることを大切に、野菜づくりから調理・加工、販売までを手がけています。
当日はまず、「やさいの会」の加工所へ。隣には朴の木畑があり、5〜6月ごろ収穫する葉が看板商品である「朴葉寿司」や「朴葉もち」に使われています。加工所の入り口前には薪を使うかまどがあり、ちょうど蒟蒻芋を煮ているところでした。昔ながらの藁灰を使う「やさいの会」の手作りこんにゃくは、寒い季節の人気商品。かまどのこと、こんにゃくの作り方のことなど、受講生さんたちは興味津々でした。
その後、中野方町の入り口にある「不動の滝農産物直売所」へ。朴葉寿司に何種類も載っている具材一つひとつや、朴葉もちに使う米粉まで加工所で作っていると聞き、受講生さんたちからは驚きの声も。「もっと高くても買う!」「いっぱいアピールできることがある」など、さまざまな提案もありました。
お昼は直売所に隣接する食堂「味菜」で五平餅定食を。旬の野菜とお米を使い、メインの揚げ物や漬物まですべて手作りの優しいごはんを楽しみました。町外、市外にまで根強いファンが多いというのも納得です。
「総料理長」から、自ら立つ料理人へ。食を起点に生きる力を育て、伝える
午後は、石井まなみさんによるお話です。石井さんはパティシエとしてキャリアをスタート。神戸の三つ星レストランでスーシェフ(副料理長)を務め、スペインでの修行後はヒルトングループ初の女性総料理長として「旧軽井沢KIKYOキュリオコレクションbyヒルトン」にて腕を振るいました。料理人として輝かしい経歴を持ちながら、それらをすべて捨てて山県に移住した理由、現在のお仕事のこと、これまでの生き方についてなど、盛りだくさんのお話をいただきました。今回も、注目ポイントをピックアップしてお伝えしていきますね。
⚫︎「会社員はムリ!」手に職を、とパティシエの道へ
学校は楽しいけど、みんな揃って前を向いて授業を受けるのはなんだかイヤ。オフィスで女性だからとコピーやお茶出し、そして寿退社なんてイヤ。…というわけで、石井さんは最初から自分には「会社員はムリ」と感じていたそう。母が看護師として働く姿を見ていて、手に職をつけようと考えました。お菓子作りが得意で、母に「それを仕事にすれば?」と言われたことから、まずはパティシエへの道を歩むことになります。
⚫︎「他人の評価で成り立つ自分は…」生き方を見直す
パティシエから料理人へ、そして三つ星レストランのスーシェフへ。海外修行も経験し、ついには一流ホテルの総料理長に。しかし、富裕な人々のために贅を尽くした料理を作り続けること、常に外からの評価で成り立つ世界、地産地消といいながら、自分自身に食料を生産できる力などないこと…自身の立つ土台に不安定さと違和感を覚えた石井さんは、築いたキャリアをあっさりと捨てます。自分で生きていく力を身につけたいと行動する中で、縁あって山県市の空き家に住まうことになりました。
⚫︎現在のなりわいと、狩猟をする理由
石井さんは現在、メニュー・商品開発や、飲食業界での人材育成コンサルティング、出張料理や食事会の開催など、食に関わる幅広い仕事を手がけています。一方、自身でお米や野菜を育て、猟師としても活動。「知り合いの猟師さんがかっこよかったから」、そして農家さんと交換できるものとして「肉」を提供できれば、と思ったことから狩猟免許を取り、冬は他の仕事を最低限にして日々山に入ります。「心臓を止めるその瞬間まで、動物は懸命に生きようとする。なぜ人間だけがちゃんと生きられないんだろう?」けものを仕留める度に、「ちゃんと生きねば」と教わっているように思うといいます。
⚫︎引きこもりの子を預かり、ともに暮らす「Subako」
石井さんの新たな取り組みである「Subako」。生きづらさを感じている子どもたちに、一時期だけでも心から安心して過せる「巣」を。引きこもりやネグレクト、親のいない子ども・若者たちに、食をベースに生きる力を育てる場を提供しています。自殺未遂の経験もある引きこもりの青白いひょろひょろの男の子が、いい食べ物と水でみるみる元気になっていく。そのように、すでに数人が石井さんとの暮らしを経て巣立っていきました。
今回印象的だったのは、受講生の皆さんからの質問がとても多く、内容も多岐に渡っていたこと。石井さんの料理、食に関わるお仕事や「Subako」についてはもちろん、「自分がしたいことがわからなくなった…」「人のことばかり気になってしまう」など、人生相談的な質問もありました。サバサバしているけれど、なんだかとても奥深い。なんでも聞いてみたくなってしまうような懐の広さが、石井さんにはあるように感じられます。
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最終回となる第5回は1月18日(土)に開催予定です。前半は、今期受講生による発表会。後半は、再び石井まなみさんにお越しいただいての料理体験&ランチ会「里山の恵みをいただく ごちそうジビエ体験」!石井さんのお料理をいただける貴重な機会です。寒い季節ですが、ぜひ中野方に足をお運びください!
単発受講も大歓迎です♪
興味を持っていただけたら、ぜひ以下のリンクから詳細をご覧ください。リンクからお申し込みも可能。お待ちしています!