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2023.11.21 「2023えなローカル起業カレッジ」第3回開催レポート

2023年11月12日(日)、「2023えなローカル起業カレッジ」第3回が開講されました。

第3回の講師は、恵那市の隣、中津川市でヒット商品「大辛ファイヤー!®︎」を生み出し、お弁当販売や料理教室などを手がける「もりのいえ」代表の森本正則さん。波乱万丈の半生とこれまでの取り組み、そしてその中から得た気づきや信念など、盛りだくさんのお話をしていただきました。

午前の部の「中野方を知る」レクチャーでは、「農事組合法人アグリアシスト中野方」の鈴村節生さんから、中野方の農業とその課題についてお話を伺いました。

今回も、中野方移住3年目の運営スタッフ・中畑がレポートをお届けします。それでは、第3回の開催レポートをどうぞ!

 

地元の農業を守り、次世代につなげる。アグリアシスト中野方

アグリアシスト中野方は、地元の農業と田園の景観を守るために、6つの営農団体を母体に2016年に設立された農事組合法人です。農業経営・農地受託・食農教育支援の3つの事業を柱として活動しています。

耕作放棄地を増やさないために、高齢化等で耕作が困難になった農地を引き受けてきましたが、年々その数は増えて現在は約25ヘクタールの農地を管理。お米のほか、黒豆や青大豆、小豆などの豆類、えごま、そば、各種野菜や芋など、さまざまな種類の作物を栽培しています。課題は人材不足と後継者難。想いを同じくしてくれる若い人材が求められています。

今回、鈴村さんはアグリアシストが手がけた丹波黒豆の枝豆を持ってきてくださいました。大粒でもっちりとした歯ざわり、甘みのある枝豆は受講生の皆さんにも大好評でした。

そして、鈴村さんからテーマをいただき「中野方のお米を高く売るにはどうしたらいいか?」を考えるミニワークショップも行いました。2グループに分かれて、熱く話し合う皆さん。次のようなアイデアが出されました。

●加工(米粉、日本酒など)して付加価値を高める

●SNS、Webでの発信を強化

●ECサイトの整備

●米作りの様子、携わる人の想いなどストーリーを見せる

●6次産業化

●株式会社化 ……などなど

熱く語り合う皆さんの様子から、農業への関心の高さが伺えました。実際に「農業をやりたい!」と話す方もおり、そうした若い人の熱が今の中野方の農業とうまく繋がっていけたら、と思いました。

 

バブル、仙人修行、パーマカルチャー留学…そして農泊から始まった「もりのいえ」

お昼は、「もりのいえ」のお弁当をご用意いただきました。蓋を開けるとあちこちから歓声が…!彩り豊かでおいしいお弁当に話も弾みます。さらに、受講生・スタッフそれぞれに「大辛ファイヤー!®︎」&「ミックス」プレゼントのサプライズも。皆さんとても喜んでいました。

午後はいよいよ森本さんのお話です。森本さんは大阪に生まれ育ち、大学卒業後はコンサル会社に就職。新たなスポーツ協会の設立など20を超える事業の立ち上げに関わってきました。そうした「ゼロから何かを作る」経験が、今に生きているといいます。

バブル期にコンサルや博物館展示に関わる仕事に携わり、羽振りもよく都内の高級住宅街にお住まいだったという森本さんですが、阪神淡路大震災を機に生き方を変えることを決意。東京を離れ、八ヶ岳のログハウスに移住します。そこで24時間オープンの陶芸フリースペースを作ったり、仙人修行を行ったりしたのち、その間に出会った現在の妻の理恵さんとともに3ヶ月間、ニュージーランドでパーマカルチャー・デザインを学びます。そこで2人で描いた青写真を実現できる場所を探して出会ったのが、中津川市加子母でした。

築150年の古民家と7,000㎡の広大な敷地で新生活をスタートした森本さん夫婦。最初は生活のために大阪の企業でISOコンサルタントとして仕事をしつつ、週末に加子母に戻って家の改装を進めました。2008年からは農場で働きながら旅をするボランティア「WWOOFar」を受け入れるホストとして宿を提供していましたが、生活は困窮。自死が頭をよぎるほどに追い詰められたこともあったそうですが、理恵さんが作るお菓子がネットで評判になるなどし、大変な時期を乗り越えていきます。

2010年頃から始めた「イベント宿屋業」が人気を博し、たくさんの宿泊客が訪れるようになりましたが、森本さんの頭の中は毎週のように開催されるイベントのことでいつもいっぱいで、心身が休まらない日々を送ることになってしまいました。そんな時、理恵さんが交通事故に遭ってしまいます。4ヶ月もの入院が必要となるほどの重傷でした。

 

「これは、人生を変えろということではないか」
「一度死んだと思って、やりたいことをやろう」

 

そう考えた森本さんは、事業転換を決意。宿をやめ、「大辛ファイヤー!®︎」事業とお弁当事業との2本柱とすることにしたのです。

2019年には、加子母の家を「大辛ファイヤー!®︎」原料栽培と製造の場として引き続き使いつつ、中津川市落合に拠点を移しました。翌年から日本はコロナ禍に見舞われ、「もりのいえ」も一時は売上86%ダウンなど大きな影響を受けましたが、補助金制度を活用して新商品「ミックス」を生み出し、お店のロゴからパンフレット、商品パッケージまで一貫したデザイン展開にも取り組みました。

そして今の私たちが知る、予約のみで完売する「行列のできない」お弁当屋さんであり、人気商品「大辛ファイヤー!®︎」を生み出した6次産業化の旗手という「もりのいえ」の姿に至るのです。

現在、森本さんは10年間の麹づくり修業を経て「もりのいえ麹室」を準備中であり、なんと今回の「カレッジ」講師を機に起業コンサルタントとしても活動をスタートします。山あり谷ありの人生を糧に、さらに新たなチャレンジを続ける森本さん。スタッフも含め、その場の全員がお話に引き込まれていました。

 

「事業は愛だ!」田舎でなりわいづくりを目指す人たちへ

森本さんは、事業を成功に導き、輝いて生きるための秘訣も教えてくださいました。

 

●「what:何をやるか」は変えていい。「who:誰とやるか」が重要

●人の評価を気にしない。「たわけ者」になろう、「たわけ者」と一緒にやろう

●紙にやりたいことを現在形で目の前で実現しているように書く

●人生の岐路は日々目の前にある。ワクワクする方を選ぼう

 

そして、事業は「愛」。いちばん大切な人のために何かをするように、自分のやっている仕事に愛を注ぎ、その思いの強さを商品が届くすべての人に持ってほしい。それは必ず消費者に届き、その愛はいずれ巡って自分のもとに帰ってくると力を込めて話されました。

最後に、受講生とスタッフが感想をシェアしました。いくつかご紹介します。

 

●夏に移住し開業準備をしているが、ネガティブが積み上がっていた。「人のために」を考えすぎてブレていたことに気づいた。自分の「やりたい」を大切にしたい。

●今月移住してきたばかり。都会では人目が気になり、幸せに見られたい気持ちが強かった。熱量を持って何かをしている人はすごい。そういう人の力になれる存在になりたい。

●書くことは自分の定点観測になる。想いや将来像をパートナーと共有することの大切さを感じた。身軽に動けるのは、ぶれない軸があるからこそだと思う。

●やりたいことがなかなか定まらずにいるが、とにかく目の前にある仕事に真心込めて取り組んでいこうと思った。

全員の心に火を灯していった森本さん。ここからさまざまなスタートが生まれそうな気配がします。ありがとうございました!

 

もりのいえ
マイベストプロ岐阜 森本さん紹介ページ
(地域のさまざまな専門家を紹介するサイト。岐阜のTV局ぎふチャンが運営)

 

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最終回となる第4回は12月9日(土)、10日(日)の2日間にわたり開催予定です。

1日目は、岐阜県関市で「そばのカフェおくど」運営ほか、地方の「もったいないもの」の再生・活用、地域おこし協力隊関連の活動に取り組む中田誠志さんを講師としてお招きしています。2日目は、受講生による発表会となります。

最終回ですが、この回のみの受講も大歓迎です♪

興味を持っていただけたら、ぜひ以下のリンクから詳細をご覧ください。リンクからお申し込みも可能。お待ちしています!

“欲しい未来は自分でつくる!” なかのほうローカル起業カレッジ 第2期生募集中