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移住者さんの暮らし

家族で中野方の良さをめいっぱい味わう生活を:鈴村剛史さん・美帆さん

鈴村さんご一家は剛史さん、妻の美帆さん、長男(小3)、長女(小1)の4人家族。剛史さんはもともと中野方出身で、2018年夏に家族を連れUターンしました。現在は、剛史さんは愛知県小牧市にある会社に勤め、妻の美帆さんはフルリモートの会社員としてお仕事をされています。

今回は鈴村剛史さん・美帆さんご夫妻に、移住の経緯や移住後の生活について、また移住5年目で感じる中野方の良さ、今後の展望などについて伺いました。

(2023年1月取材)

 

「小学校に入るまでに」急に動き出したUターン話

――中野方に来られたのはいつですか?

剛史:2018年の6月。戻ってきて5年ほどになりますね。大学は東京で、就職してから中野方に戻るまでは、静岡県三島市に住んでいました。

美帆:私は学生時代まではずっと東京の実家で暮らしていました。主人とは会社の同期で、同じく三島勤務に。そこで結婚し、子ども2人が生まれました。

――剛史さんはもともとUターンの意向はあったのですか?

剛史:長男でもあるし、自分の意思としてもいずれは戻りたいという気持ちはありました。そんな折、会社が海外企業に買収されて。お堅い日本企業から、急に変化の激しいバリバリの外資系になってしまった。それで定年まで勤めるイメージがつかなくなって、中野方に戻ることを具体的に考え始めました。転職するなら30代前半のうちにと思ったし、子どもが小学生になる前のうちに移ればなじみやすいかな、とも考えて。それからは実家の隣にまず家を建てて、引っ越して…と、バタバタっと一気に動いていった感じです。

美帆:結婚前からいずれは中野方に戻りたいという話は聞いていたけど、急に話が動き始めて。当時はただでさえ2人育児でいっぱいいっぱいの日々だったから、心の準備がなかなか追いつかなかったところもありました(笑)。

剛史:転職先も決まらないうちに家建て始めたのはちょっと無謀だったかな(笑)。

――今、お二人はどんなお仕事をされていますか?

剛史:僕は愛知県小牧市にある会社で働いています。高速使って車通勤。コロナ禍になってからは、週1、2回はテレワークです。

美帆:私はUターンに伴い会社を辞めて、こちらに来てから何か新しい仕事を探すつもりでした。しかし、ちょうど会社がテレワーク体制を整備し始めたタイミングだったので、リモートで仕事を続けないかと提案していただいて。コロナ禍より2年も前の話で、テレワークもまだまったく一般的じゃなかったので不安はあったのですが、やるだけやってみようと。中野方に来て働き方はフルリモートに変わったけれど、勤務先は以前と同じまま仕事を続けています。

――お子さんたちはすぐこども園に入ったんですよね。

美帆:息子は年少、娘は未満児クラスに入りました。こっちに来て驚いたのは、園にすぐ入れたこと!三島では二人とも保育園に入れなくて、やむなく育休を延長していましたから…。だからすんなり入園できたことは本当にありがたかったです。人数が少ないから、入園前からうちの子たちの名前もみんな知っていて、「待ってたよ!」って。子どもたちがなじむのも早くて助かりました。

 

保育園にすぐ入れる!音を気にしなくていい!に感動

――中野方に来てよかったと思うことは?

美帆:毎日きれいな景色が見られるし、何より子どもが自由に遊び回れるところでしょうか。三島にいた頃はアパート住まいでしたが、下の階の人から子どもの足音がうるさいと言われてしまったことがあって…。それが本当に大きなストレスだったんです。子どもが動き回るのは自然なことなのに、迷惑かけないためには叱って止めないといけない。それがとても辛くて。だから、周り一帯フリースペース!な中野方の環境は本当に嬉しかった。子どもが小さい時期は特に、田舎のメリットを最大限に体感できるんじゃないかと思います。

剛史:おじいちゃんおばあちゃんが、この環境の中で目一杯遊べるようにいろいろ工夫してくれて。冬は雪を重機で押し固めてそり場にしてくれたり、裏山にジップラインやブランコを作ってくれたり、遊ぶ前にさりげなく草刈りをして遊びやすいようにしてくれたり。子どもたちより準備する側がはしゃいでいることも多々あります(笑)。

――お子さんの同級生が10人くらいというのはどうでしたか?

美帆:最初は本当にびっくり。子どもの数が少ないことで、ちゃんと社会性が育つのか心配な面も正直ありました。でも、小学生の長男を見ていると、勉強はもとより普段の人間関係なんかについても先生の目がしっかり行き届いていて安心できます。多くの人の中で切磋琢磨する経験はあまりできないかもしれないけど、同じメンバーの中でうまくやっていく力はしっかり養われるんじゃないかな。仕事でも、同じ人と長く付き合い続ける必要がある場面は多々ありますから、そういう環境を経験できるのはプラスになるんじゃないかなと思っています。

剛史:人数が少ないと付き合う人のバリエーションが狭まっちゃうかなと思ったけど、子どもたちの同級生はそれぞれみんな個性的。だから意外と大丈夫かなと。

――地域との関わりはどうですか?

美帆:三島の頃はアパート暮らしで、ご近所付き合いは本当に挨拶程度でした。でもこっちに来たら、こども園や学校、地域の役がたくさんあって、最初はけっこう驚きました。人が少ないからそうした役もいろいろと引き受けていくことになるのですが、大変な面がありつつも、意外とメリットも大きいなと感じています。役をすることで人の輪が少しずつ広がって知り合いが増えるから、行事や集まりに出るにも気負いがなくなってくるし、聞きたいことを気軽にLINEなんかで聞ける関係性もできてくる。そうなると、本当に地域で暮らしやすくなってきます。私はもともとけっこうな人見知りなのですが、役を経験することで自然と「地域デビュー」ができたんじゃないかなと。

剛史:そうだね。子どもがいる場合は、まずこども園とか学校の役員から入ると地域になじみやすいかもしれないですね。

 

虫、買い物…よく聞く「懸案事項」はどう?

――では、中野方での生活で大変なことはありますか?

美帆:私はまだやったことがないのですが…草刈りは見ていても大変だと思います。真冬以外はいつも誰かしら草刈りしているのを目にするので…。

――移住したばかりの頃は、人に会うたびに「草刈り機買ったか?」って聞かれていました(笑)。それくらい必須アイテムなんですよね。

剛史:自分の土地だけじゃなくて、こども園や学校、地域の奉仕作業もありますからね。自分の所以外の草も、年5、6回は刈ってるかもしれない(笑)。

――虫は出ませんか?美帆さん虫嫌いとおっしゃいましたが…。

剛史:だいぶガードはしていますね。あらゆる換気口にフィルター張ったり、家の周りに虫除けの粉まいたりして。うちは新しく建てた家で気密性が高いから、母屋に比べるとかなり虫は少ないと思います。

美帆:出る時は出ちゃうんですけどね…。家族がいれば助けを求められるけど、日中ひとりで仕事をしている時に遭遇すると怖い。でも、「虫虫ゲッター」っていう秘密兵器をゲットしてからかなり気が楽になりました。マジックハンドみたいなもので、虫を潰さずにひょいっと捕まえてポイッとできるんです。虫が苦手なお母さんたちにはいつも宣伝してます(笑)。

――移住する上で、買い物の不便さを心配する声もよく聞かれますよね。

美帆:私は平日は家の中で仕事をしているので、土日に市街に出てまとめ買いするスタイルですが、それで特に不便を感じることはないですね。ウィンドウショッピングが好きとかだとちょっと辛いかもしれないけど、ネット通販もあるし、基本的には必要なものは必要な時にちゃんと手に入る。流通が発達してきているのは、田舎に住む人にとってはすごく追い風だなと思います。

 

中野方で今、本当に幸せに生きている

――最後に、これからやってみたいことや、将来の展望はいかがですか?

剛史:家族で合奏したいって言ってたよね。

美帆:私はフルートを吹くのですが、家には電子ピアノやカホン(ペルーの打楽器)もあるから、みんなで演奏できたら楽しいだろうなって。

――音を気にしなくていいから、思いっきり楽しめますよね。

美帆:そうそう。この素敵な環境をしっかり味わう生活をしていきたいなと。

剛史:冬はスキーやスケートにも気軽に行けるし、今は子どもと一緒に体を動かして楽しむ機会が多いですね。そういえば、ピザ窯作ろうって話していたことも。

美帆:私は根っからの東京っ子だったから、会社の人たちや友人からも「元気なの?」「大丈夫?」と未だによく聞かれていて(笑)。でも、今は中野方で、本当に幸せに生きてるって言えるんです。でも、まだまだ楽しいこと、知らないことがあるんだろうなと思うから、とにかく家族でここでの生活を満喫し尽くしたいと思っています。

 

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鈴村さんの長女ちゃんとうちの息子は同い年。通勤する会社員&リモートワーカーの夫婦という共通点もあります。

地方移住では起業、就農などがクローズアップされがちですが、住みたい候補として多くの人に目を留めてもらうには「普通の人が普通に暮らせる」田舎であることも大切なのではと思います。

お話を伺う中で印象的だったのは、鈴村さんご夫婦の「ここを楽しみ尽くしたい!」と話す明るい笑顔。フルタイムで働いているとついつい仕事に偏った生活になりがちですが、私ももっと中野方を味わおう、楽しもう。そう感じた取材でした。